2018-04-04 『米国・ロシア・中国・3超大国の地政学上の構想 No. 1 」 「3超大国の狭間で揺れる日本」

  これまで、何度も書かせて頂いてきましたが、永きに渡る世界の安定期から激動期へと移行する過程において、日々勢いが増して来ている状況となっています。世界の自由主義基準上での国際秩序が大きく揺れ続けているのです。超大国としての中国の台頭は、テロリズムとの交戦と等しく、現在、国際社会政治での構造決定を重大なものへと変化させています。米国経済は圧倒的な力を持っていますが、中国の急速な発展も他国を引き離し、間も無く日本のGDPの約3倍にまで達しようとしています。(中国政府発表は信用出来るものではありませんが、ここでは敢えて発表通りの数字を用いる事としました)

米露冷戦終結後、今度は米中冷戦構造の時代に入ったと云えます。

この事は、米国トランプ政権が発表した「国家安全保障・防衛戦略」によって、構造がハッキリ見えて来ました。米国は既に、中国に対し経済戦争を仕掛けています。中国もこれを受け、一歩も譲らないとの対抗姿勢を打ち出しています。これらを複合的に考察し、そこから見えてくるものが、米露冷戦時代のようなイデオロギー対立では無く、自由主義と共産主義との対立といったものでもない新しい冷戦構造となっている事が解ります。中国習近平主席が国際社会へ向けて発信、発言しているのは、現在の国際秩序への中国の貢献度は大きいといったものです。

(どう考えても国際秩序を乱し、混乱を引き起こしているのは中国だと思うのですが・・)

世界各国のそれぞれの伝統や文化などを尊重し、内政干渉はするべきでは無いとしており、これによって「中華思想・華夷秩序」の復活を果たすべく強行に正当化を図るといった事が行われていると見て取れます。

現在の国際秩序に貢献度の高い新たな超大国としての立ち位置を目指す中国は、西側諸国側の自由主義を模す事は決してあり得ない事は明らかです。

決して侮ってはならない長期に渡るしたたかな国家戦略だと云えます。また同じ事を書いてしまう事になりますが、中国と云う国家の近代化論、経済発展で豊かになる事によって共産思想から脱却し、自由主義国家、民主化するだろうとする希望的観測が巷間では長きに渡り語られて来ましたが、現時点での中国が民主化するといった答えは出ていません。

世界は、現在の中国と云う超大国を受け入れた後の国際秩序をいか様にして構築すべきかと推し量っている段階なのです。

中国の「一帯一路」構想とは、中国を起点として世界に向け帯状に伸びて一纏めに包み込むような感覚として捉える事が出来ますが、中国が目指している「中華思想・華夷秩序」が基本にある国際秩序を世界地図的な概念を持つものとして表していると云えます。世界基準で平素から用いられている地政学では「ランドパワー・大陸国家圏」と「シーパワー・海洋国家圏」として分類されます。この構成を基本的な概念として多岐に渡り使われて来ました。ロシアは、ユーラシア大陸深部に位置し、中央アジアと共に「回転軸」として、大陸国家の盟主といった捉え方が成されています。米国は、太平洋と大西洋の接する位置にある巨大島国として「海洋国家」の盟主とされている事も公の事実です。

そして、中国と云う国家の位置付けとしては、ドイツ同様の「水陸国家」とされていますが、この圏域の盟主までにはまだ認識されていません。しかし、地球上の大陸部で影響力を維持し、また拡大を図ろうとしている大陸国家の長、ロシアと海洋国家の長として揺るぎない影響力を誇っている米国、この2ヵ国の動きに十分な注意を払いながら「一帯一路」戦略によって両国の中間に位置する領域に自国の影響力を強め、これを確立しようとしているのです。

中国の影響圏域の鍵となるのは、地政学上の(橋頭堡)である半島地域です。朝鮮半島、インドシナ半島、インド等が地政学上での対象となります。インドは、上海協力機構に加盟しているものの、日本、米国との関係強化に努め、立ち位置としては非常に複雑な状況ですが「一帯一路」に対しては反対の立場を採っています。東南アジア諸国は、親中国と親米国との2つにはっきりと分かれています。韓国の立ち位置は、インドと同じ事情を抱えており、世界各国の北朝鮮への対応の狭間で、どちらつかずといった事で揺れています。インドと同じ事情であるにも関わらず、曖昧な対応を採る事しか出来ないのです。

こういった、地政学的な見解からの各国の動きは今後更に進展傾向へと続いて行くと推察出来ます。

米国は、普遍的主義を喧伝しつつ、現実には影響圏域を広げて来ました。

しかし、中国の超大国化が現実なものとなり、米国との対抗姿勢を示した事により、かつての政策を採らなくなったのです。

普遍的な主義を切り捨ててまで、この地政学上での政策を通じて自国の国益、国力を高める事としたのです。

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