2018-08-06 『19世紀・帝国主義時代における地政学』No.2 「地球儀を俯瞰する戦略外交」

本項を書き進める前に、前回冒頭にて書かせて頂きましたとおり本テーマは、米国オバマ政権前半期である事を再度確認されたく思います。

東アジア、南アジアにとっての「最大の脅威」は昔も今も中国です。

その軍事力を背景に恫喝する中国共産党であり、ロシアではないのです。ベトナムやインドは強かです。ロシアとの準軍事同盟関係を構築しながら、日米とも友好関係を継続しています。我が国日本が、日露平和条約締結に向け準備している事と同時にベトナム、インド、フィリピンとの軍事交流を図っているのは、中国とロシアとの間に楔を打ち込み、これを離間させる工作を仕掛けているからです。南沙諸島での埋め立て軍事基地化における国際司法裁判所がくだした判決までも完全に無視。尊大にして傍若無人、軍事力に物言わせ恫喝する中国は、東南、中央アジアでは、ならず者国家であり、周辺国による「対中包囲網」が成されようとしている事は極当たり前の事であり、遠交近攻に沿う合理的なものです。その一方で中国は、韓国、タイ、カンボジア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、インドネシア、ラオスなど、中国への経済的依存度が高い各国を懐柔、または恫喝し、中国の冊封体制下に組み入れる事に注力しているのも、合従連衝策の現代版を行っているだけであり、弱小国を恫喝し各個撃破して従属させる計略です。

米国は、オバマ政権の後半時までは、中国をパートナーとしロシアが仮想敵国でした。また、米国のエスタブリッシュメントにとってもロシアが敵国であり、中国ではありませんでした。米中は、手を携え利益を分け合う関係(G2)とした考えを示して来たのです。

当時の米中関係の本質は、まさにここにあった訳です。

米国の中東政策では、敵、味方を混同して失敗しました。これにより、サウジアラビア、トルコ、イスラエルなどの主要同盟国の信頼をなくしたのです。これと同じく、東アジア、南アジアでも、主要同盟国、友好国の信頼を次々と失ってしまったのです。オバマ政権の8年間は、米国を取り返しのつかなくなる状況になるまで放置し続けました。財政赤字は増え続け、予算も組めない状況を世界に晒してしまったのです。中東のほぼ全域が、ロシアの勢力圏となりつつあり、近い将来、東アジア、南アジアにおいても同様の事がおこり、米国に代わりロシアが対中包囲網を主導する様相を見せています。これは、ロシアがその準備体制を整えている事が更なる裏付けとなります。露プーチン大統領は、「対露包囲網・対露経済制裁」圧力のため、経済、軍事双方からの中国接近政策をして来ましたが、中東と欧州戦線に一定の目処がつき、経済制裁の緩和を成す事が出来れば、中国との関係を是正し東アジア攻略に取り組む事になるのは明らかです。英国は、EU離脱によって経済、政治、外交的な影響力が著しく低くなるのは当然の事であるため、親中キャメロン前首相からメイ首相へと引き継がれた過程で親中政策路線から、従来の海洋国家政策へと転換しました。EU離脱後、独自での動きへと変更を余儀なくされた事から、英国メイ首相が来日し、首脳会談を行い準同盟国並みの声明を発したのも、こういった事からのものでした。

これにより、NATOの形骸化は更に進む事になります。

新しい国際秩序の構築を目の前にして「ユダヤ・アングロサクソン同盟」は落日したと云ってよいでしょう。

かつての米国は、軍事力、経済力で、世界の盟主、世界の警察だと謳い、謳われて来ましたが、現在では見る影もないほどの凋落ぶりです。これが自然の摂理だと解する事も出来ますが、現実的に米国が頼れる同盟国が、我が国日本と英国だけになるとは何とも哀しい思いを拭えません。米国が日本では無く中国との信頼関係を信じて疑わなかった自業自得だと云えますが、日本は日本で、戦後からの自虐史観のまま、いくら米国の圧力があったにせよ、日米関係を是正する事なく、憲法までをも変えようとせず、今日、自国の安全保障を米国に任せ、自国を自分達だけで守る事の出来る、真の独立国家になれなかった事が最大の原因なのです。しかし、この様な状況下において、米国の将来を憂いた人物が米国大統領となります。

ドナルド・トランプ氏です。

そしてまた、日本の将来を憂いた政治家である安倍晋三首相が、幸いにして日本国のトップの座にいるのです。日米同盟と安全保障条約は、現行の保護国(米国)と被保護国(日本)攻守分担から共同攻撃と共同防衛と歩調を合わせたものに変換されました。これからの我が国自衛隊は、専守防衛から反撃防衛となり、また、先制攻撃可能な軍事装備拡充へと移行せざるを得ない状況となります。我が国の仮想敵国から数分で到達する核ミサイルが現実的に存在している時代に、日本の野党が主張している「話し合いによる解決」など聞く価値すら無いものです。

国民の生命と財産を守り、生き残るために必要とあれば、国家として超法規的措置をとるのは当たり前の事であると解するべきなのです。

中国は米国の政界、官界、主要メディア等の要人に対し、現在に至るまで莫大なカネを賄賂として贈り続けて来ました。米中は、両国ともに「私益優先」としての観点においては全く同じであり「国益」より優先されます。こうした事は、米国よりも中国の方が戦略的に一枚上手であると言えます。米中共に「地獄の沙汰もカネ次第」なのです。こうした背景から、米国は中国が敵対姿勢を明確に示していたにも関わらず、これを放置、または危機感の全く無い対応しかして来なかったのです。安倍首相と露プーチン大統領とは非常に良い関係を保っていますが、日露首脳会談を行う際には毎回必ず、日本に対して「クギを刺す」事を忘れません。安倍首相を高く評価し、日米は100%共にあるとしながら、日本とロシアが接近する事に対し、異常なまでの警戒をしています。過去に遡れば、鳩山一郎内閣当時、日ソ平和条約の締結に向け注力し、妥結寸前に圧力をかけられ頓挫させられた事があります。また、橋本内閣、森内閣でも日露交渉に尽力した事によって潰されたのです。

米国の反対を押し切り、ソチ五輪に参列し、日露間での経済協力交渉を進め、露プーチン大統領の訪日に向けて布石を打つ安倍首相に、これを妨害し潰そうとしているのが、同盟国である米国だと云う事を知らずにいる日本人は少ないと考えられます。米ソ冷戦当時であれば解らなくもありませんが、冷戦後も変わる事なく妨害工作を仕掛けられて来た、まさにこの事が日露関係と日朝関係が一向に改善されず、進展しない原因なのです。要は、日露の経済協力によって、対ロシア制裁の効力を減らしてしまうような真似は許さず、と恫喝しているのです。

中国もロシア同様「力による現状の変更」を行っています。にも関わらず、米国は何故、中国にも同じ対応をとろうとしないのか??…

また、中国との経済、金融連携を図っている英国、ドイツに対しては、何故日本への圧力と同等の措置を採らずらずにいるのか??…

我が国日本を未来永劫、米国の忠犬のままにしておきたい事がよく解る事案です。

さて、過去、大戦時に日本と同盟関係であったドイツについてですが、米国は、独メルケル首相に対しても日本安倍首相と同様に高く評価してはいるものの、ウクライナ案件において、独仏露の3ヶ国が談合し、米国、英国の頭を超えて休戦締結した事。そして、ウィキリークスの暴露により顕在化した、CIAによるメルケル首相のプライベート携帯電話盗聴事案が政治問題にまで発展した事により、米独双方、更に関係悪化が進み疑心暗鬼に陥っているのです。米国にとって、ドイツは欧州での仮想敵国であり、日本はアジアでの仮想敵国と見なされている事がハッキリ解ったのです。戦後から現在に至るまで、米国は日本とドイツに世界最大規模の軍事兵力を配置して来ました。当ブログで何度も指摘させて頂いて来ました通り、米国の国益のために、日本とドイツが頭を上げる事が出来ない政策をとって来たのです。

敗戦国が、主権を完全に回復し、高みに到達する事は容易ではありません。

「臥薪嘗胆」し、国力を蓄え、好機の到来を我慢強く待つしかない現実があるのです。

(一部参考引用・悪の論理・倉前盛道著)

 

 

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