『北方領土返還の前提条件』

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安倍総理は露プーチン大統領との首脳会談を熱心に何度も繰り返して行って来た。

その度に、日本国民の多くが、交渉を進めることによって北方領土が返還されると期待している。いや、返還されるだろうと信じている。しかし、地政学的な視点で見た場合、我が国の安全保障上での平和条約締結に向けての交渉に過ぎず、竹島も勿論だが、既に実効支配されてしまっている領土は、戦争と云う手段でしか奪い還すことは出来ないのである。戦後洗脳が解けていない左巻きの人達の常套句は、「全ては話し合いで解決することができる」と云うものであるが、憲法九条も含め、本気でそう考えているのであるから始末に終えるものではない。

さて、日露間における軍事史の視点から考察していきたい。

政治力として考えれば、ロシアは未だ大国である。勿論、米国には及ばないが、EUと同等程度の地位にあると云えよう。先にも述べたように、戦後日本に蔓延る者達と等しく、洗脳が解けない日本の政治家、官僚では、大国ロシアとの外交駆け引きなどが出来るとは到底思えないのである。そして現在の露プーチンは、あのバリバリのKGB出身者である。「落とし処」を前提とした外交を基本とする戦後の悪しき部分に沿い、ここから抜け切れていない外務官僚では太刀打ちすることすら覚束ない状態である。ブラフもかませず、相手の出方を待ち、相手が乗って来なければ何処までも後退すること。これこそが最良の外交だと信じているのであるから実におめでたい。

ここで、先の大戦終結時のことを思い返して欲しい。大日本帝国海軍による真珠湾攻撃は、米国ホワイトハウスが、日本の開戦手口を知っていた上での外交交渉を敢えて行っていたとすることを知り、米国が卑怯極まりないことを仕掛けるならば、日本も戦いながらの交渉は一切無しとし、無条件降伏までは戦争を続けるとの決意を固めたと表明したのは、表面上での態度として当たり前のことであり、大東亜共栄圏の旗印を掲げたリーダーとして、「大義を通す」ための責務であった。そして、終戦間近の昭和二〇年八月八日のソ連参戦は、日ソ中立条約違反であることは明白であったのであるから、この事に対して大日本帝国政府は、対外的に筋を通しておく必要があったのだ。即ち、大日本帝国は、八月八日まではポツダム宣言についての検討をしていたが、ソ連が条約を破り、宣戦布告してきた以上、連合国との交渉は不可能であり、我が国は、ソ連の侵略に対し徹底抗戦する。英米がソ連の条約違反戦争を容認し、これに荷担し続けるのであれば、英米に対しても戦闘を続ける他に道はない。

こうした声明を発しなければならなかったのである。これが出来なかった最大の理由は、国体の護持、即ち、皇室の存続を優先したからに他ならない。八月時の日本帝国政府の意志決定は、先帝、昭和天皇から発せられたもので、「ソ連を刺激することはならぬ。」と云うことであり、ポツダム宣言受諾後の昭和二〇年九月二日に、満州や千島列島等の守備隊にも、「武器を置き、敵対行為を止めよ。」とする先帝、昭和天皇陛下の命によるものなのである。であるならば、千島列島への抗議は潔く放棄するしかないのではないか??

ソ連の不可侵条約違反に対して、満州、樺太、千島の各部隊が自衛の戦闘をするのは本来なら至極当たり前であるが、この当たり前のことを、東京大本営発表で正式に禁止ている事実がある以上、戦後の日本政府が、ソ連に対し、占領した土地を返還しろと要求するのは筋が通っている話しではないのではないか??

満州、樺太、千島について、帝国日本政府は、自他に対する筋を通さず、ソ連軍による排他的占有の事実を導き、自衛のための戦闘停止命令によって、実効支配を公式に容認してしまったのだから、自衛のための戦闘が無く、ソ連が不可侵条約違反して占領した領土の主権を放棄しない旨を、政府声明すら発表していない。しかるに大変残念なことではあるが、当時から正統性ある政府として、誰に恥じることもない北方四島主権要求と云うものは既に失われていると云えるのではなかろうか。

米国政府、トルーマン大統領もソ連の四島占領を止めようとはしなかったのである。加えて米国は、台湾や朝鮮、満州、南西諸島を放棄させたが、それらについて日本政府は何の抗議もしていない。そして、サンフランシスコ条約会議で千島列島を放棄した時、北方領土を除外と明示してもいない。つまりは米国が北方四島を放棄させたということでもある。しかし、筋が通っていないのだが、戦後の日本政府はアメリカに使嗾されるままに、ソ連に対してだけ、あとから四島の返還を「要求」してしまったのだ。ここから第二の問題が生じている。まさに大きな勘違いが日本側に発生しているのではないのか??

日露の北方領土問題は、外務省官僚の御題目の如き「落とし処」として適当だと云える線は、択捉島を放棄し、国後・歯舞・色丹の「三島一括返還」で手打ちにすることだろうと思われる。

皇室は守られ存続した。しかし、北方領土とそこに居た日本人住民、そして満州に残されてしまった陸軍とその関係者の方々のその後の状況説明は政府から公式に発表されたのか??

満州からは陸軍軍人や多数の関係者達がシベリア抑留され強制労働を強いられ、帰国出来た人は僅かである。

南樺太や、北方領土は、たいした軍事的抵抗もなく奪われた。その一方で、軍事的抵抗を続ければ続ける程、皇室存続は危うくなる状況であったのだ。

皇室存続のため、日本各地に終戦を徹底させるために御皇族の方々を派遣した。その一方で、領土と住民を守るための当然の権利である、自衛のために抵抗し、交戦をしようとすればできた筈がこれをしなかった。…

私は、先帝昭和天皇が、終戦後、日本各地を廻られ、日本国民を励まし、勇気をお与えくださったと云うことに対して、当時まだ生を受けていないにも拘らず、畏れ多くも尊崇の念を抱いている。日本国民であれば、皆等しく同じ想いでいるであろうと思うのである。だから余計に何故、安倍政権は、かように露プーチンとの首脳会談を繰り返すのか??

… と思うのだ。

北方領土返還、平和条約締結交渉をすればそれだけ内閣の支持率が上がるとでも考えているのであろうか??

GHQが定めた憲法を改正するために、ロシアの暗黙の了解を取り付けようとでもしているのか??

中露分断を図るべく米国からの指示が出ているのとでも云うのか??

日露交渉を今後も強力に消化しなくてはならない事由についての説明として、先の大戦終結時に起きた一連の真相を誤解を招くこと無きよう、また、悪戯に国民感情を煽るような事態にならぬよう、国民に発信、説明せずして交渉を進めることは如何なものかと思うのである。

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